コロナが住宅販売に2年分の変化をもたらした


先日、書店のビジネス書コーナーを何気なく見まわしていて、ふと目に留まった本がありました。

 

本のタイトルは、

『2025年  人は「買い物」をしなくなる』 ㈱クロスメディア・パブリッシング発行

 

勘のいい方はこの本が何を書こうとしてるか、おわかりになるでしょう。本の帯にこう書かれていました。

 

『100年をかけた「棚の奪い合い」に勝ち残るのは誰か?

わずか5年後、リアルの棚は、ほぼデジタル棚に置き換えられる。その覇権を握ったものが、次の時代の消費をリードすることになる。

ショッピング体験の発展で、人々は「買い物」をしなくなる。もちろん、お金を払って何かを買うことがなくなるわけではない。

なくなるのは、これまでの買い物におけるさまざまなプロセスだ。店に行くことや、現金を用意すること、さらには商品を自分で選ぶことも含まれる。』

 

「へ~やっぱりそうなるのかな」という感じじゃないですか? 

 

もう1つご紹介しておきます。

このメルマガ第1回目でも引用させてもらった、日経新聞7月6日付けの「核心」にはこんなことも書かれています。

 

『米マイクロソフトのサティア・ナディラ最高経営責任者は4月末に「コロナ禍で社会のデジタル化が進展し、2年分の変化が2カ月で起きた」

と述べた。』

 

このことは、誰もが多少なりとも実感しているでしょう。

ちなみに私が、県内在住の30~40代の主婦10名から「コロナによる外出自粛で増えた行動は」のアンケートでは、「ネットサーフィン」「動画配信サービスの視聴」が「テレビの視聴」とともに同数でトップでした。

 

 

ステイホームは、Amazonで買い物、動画配信で映画を見る…。

仕事においてはテレワーク導入による在宅勤務。ZOOMを活用した取引先との打合せは私でさえも経験。とにかく否が応にも、デジタルと接触す

る時間が増えたというのは、だれしも実感することでしょう。

 

そして、この現象が住宅販売の世界も変えてしまったのです。

 

[住宅展示場がネットへ]

 

6月に発行された新建ハウジング「工務店のためのコロナ対策読本」に、消費者の住宅購入のための行動が変わったことを表すデーターが掲載され

ています。

 

「住宅会社をなにで探した(探す予定?)」という質問に対して、

■1位…ホームページ       58.7%

■2位…住宅展示所        41.3%

■3位…ブログ・インスタ等SNS  25.2%

■4位…口コミ情報サイト        22.5%

■5位…住宅情報サイト      22.3%

■6位…住宅関連雑誌       20.3%

■7位…完成見学会等のイベント  20.2%

というような結果が出ていました。  (2020年6月調査)

 

一昨日お送りしたメルマガに、2019年の同様の調査結果を書きました。

■1位…住宅展示場に行く     61.4%

■2位…住宅情報サイト閲覧     9.2%

■3位…公式ホームページを見る   4.4%

 

いかがでしょうか?2019年(ビフォア)にダントツ1位だった「住宅展示場」は約マイナス20ポイントの2位に、そしてホームページがなんと、プラス54ポイントで1位へ躍り出るとともに、ネット関連が「住宅雑誌」や「完成見学会」を抑えて軒並み上位を占めるようになりました。

 

「まず住宅展示場へ行って、ハウスメーカーの営業攻勢に合って・・・」という王道が「ネットで情報収集」へと変化したわけです。もちろんこれまでも「ネットを活用して住宅会社を探す」という人はいたものの、これが「住宅展示場」を逆転するというあまりにも劇的な変化。

 

これは考え方次第では、コロナがもたらした工務店への恩恵だと言えます。

 

このことを、冒頭の本のキャッチコピーを借り「住宅販売」に置き換えて表現するとこうなるのでしょう。

 

これからの(いや今まさに)、住宅展示場という「リアルの棚」は、ほぼデジタル棚に置き換えられる。その覇権を握ったものが、次の住宅市場を制することとなる。

 

(次号へ)